サルカンタイ・トレイル
ペルー
歩く距離・日数距離74km、4~5日
基本情報
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特徴
マチュピチュ周辺の険しい渓谷が連なるビルカバンバ山群の最高峰・サルカンタイ(標高6,271m)を半周するルートだ。前半はサルカンタイを拝みながら、標高の高いアンデス地方らしい草原を歩く。その標高は3,500~4,500mほどで森林限界を越えており、存分に眺望を楽しめるはずだ。標高が下がる中盤以降は温帯雨林へと足を踏み入れることになり、樹上に咲くランをはじめとする花々や野鳥など、豊かな自然に目を奪われる。アンデス高原から温帯雨林へと、ダイナミックに変わる眺望と自然が、このルートをより魅力的にしている。
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歴史
「サルカンタイ・トレイル」はインカ帝国時代の首都クスコとマチュピチュを結ぶ。インカ・トレイルと同様に、インカ人が歩いたルートだ。インカ・トレイルはほとんどが遺跡に沿って歩くのに対し、サルカンタイ・トレイルは標高5,000m近くを通る。過酷なルートを行くのは、サルカンタイ・トレイルが宗教指導者の使うルートだったためで、より高地を歩くことで神に近づけるからと信じられている。
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自然
③ 自然: 道の自然、地形、動植物 中盤以降の温帯雨林は、サルカンタイの氷河から流れ出す水によって形成されている。氷雪を抱えた高峰の存在が、豊かな森をつくりだしていると、インカ文明よりも以前の人々は気づいていた。そして、この高峰を「精霊」を意味する「アプー」と呼んで崇めた。サルカンタイは今でも「アプー・サルカンタイ」と呼ばれ、地元の人々に霊峰として崇められている。サルカンタイをバックに、ターコイズ・ブルーに輝くのがウマンタイ湖。山肌の万年雪とのコントラストが美しい。
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サルカンタイ・トレイルは、ペルーの首都クスコからマチュ・ピチュに向かう人気ルートのひとつであり、もうひとつのインカ・トレイルと紹介されることもある。スタートとゴールを同じくするインカ・トレイルのように数カ月前から予約が取れないということはなく、観光客も少ないため、トレッキングそのものを楽しみやすい。 このルートの特徴は、インカ・トレイルよりも高地を歩くことにある。雄大な山々を通り抜け、最高地点のサルカンタイ・パスでは標高4,650mに達する。74kmの行程には、インカ・トレイルのように遺跡はないが、この道もインカの人々が歩いたマチュピチュへの巡礼路であり、古来より受け継がれてきたことに変わりはない。 サルカンタイは、ビルカバンバ山群の最高峰であり、ルート上からはその迫力を間近に感じることができる。サルカンタイのみならず高峰が並び、山岳地帯の展望は抜群だ。 万年雪に覆われた山肌やターコイズ・ブルー色の氷河湖など、ダイナミックな見所が多い。森林限界を突破した高地に広がる草原も、アンデス地方らしい景色のひとつ。視界を遮るものがない草原から雪山を望めれば、アンデス高原の象徴的な風景が待っている。 行程の中盤からは標高を下げ、温帯雨林が生い茂る。氷河から流れ出す水によって豊かな森は育まれてきた。多様な動植物からなるジャングルは単独でつくられているのではなく、人を寄せ付けない霊峰の存在が背景にあって成り立っているのだ。 豊かな森を養っている源泉がサルカンタイにあることを、インカ文明以前の人々は見抜いていた。神聖な山として捉え、雨季にはサルカンタイの上空に南十字星が輝くことから、肥沃な土地をコントロールする天気の神様であると考えられていた。そして、この霊峰を精霊を意味する「アプー」と呼び、今に至るまで大切にしてきた。 道中はキャンプサイトが用意されているが、ドーム型のロッジに宿泊するのもおすすめだ。天井がガラス張りのスカイドーム、インカ帝国の頃を思わせるアンディアンハット、ジャングルに立てられたドームはいずれも個性的で快適に過ごすことができる。 ※最新情報は現地サイトにてご確認ください。