エル・カミニート・デル・レイ
スペイン
歩く距離・日数7.7km 3-4時間
基本情報
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特徴
エル・カミニート・デル・レイは「王の小道」をスペイン語で意味するトレイル。スペイン西部のマラガ県に位置し、グアダルホルス川に沿ったガイタネス峡谷の断崖絶壁に造られた「空中歩道」である。かつては荒れ果てて崩落した箇所もあり、廃道寸前の「世界でもっともおそろしいトレイル」として知られていた。今では崩落しかけた箇所に木道が設けられ、柵や手すりが設置されたことで歩きやすくなっている。高度感を楽しみながら、深い峡谷をトラバースできるが、高所恐怖症の人にはスリリングなトレイルである。
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歴史
このトレイルの始まりは20世紀初頭にさかのぼる。治水工事に際し、峡谷の東西両端にあった2つの発電所を労働者が往来できるようにと1905年に造られた。「王の小道」と呼ばれるようになったのは、1921年に歩道の西側に完成したダムの落成式に出席するため、当時の国王アルフォンソ13世が実際に通ったことに由来している。ダムの完成後は労働者の往来がなくなり、整備不良で荒廃が進んでいった。
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自然
この峡谷は花崗岩で形成されており、多様な野生動物が生息している。絶壁に切り取られた空を見上げれば、ハゲタカ、イヌワシ、ハゲワシなどの鳥を見ることができるかもしれない。峡谷の高所ではアイベックスが歩き回りキツネやアナグマなどを探すこともできる。水辺の低い場所では、クロウタドリやツバメなどの小さな鳥も。希少な植物も分布しており、切り立った崖の裂け目に根を張るルピカプノス・アフリカーナは、絶滅が危惧されており、アンダルシアの保護種に指定されている。
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わずか7.7kmの道のりにも関わらず、訪れる人が絶えない。それがスペイン西部のマラガにあるエル・カミニート・デル・レイだ。 ガイタネス峡谷の断崖をなぞるように築かれた空中歩道はかつて「世界でもっともおそろしいトレイル」として知られていた。峡谷の底を流れるグアダルホルス川から両側の絶壁は最大で高さ700mに達する。 エル・カミニート・デル・レイはアルダレスとアローラの2つの村を結ぶ一本道のコースで、踏破に3~4時間を要する。高さ約100mに、人ひとりが通れるほどの幅で、数kmにわたり小道が続く。危険をはらんだトレイルで命を落とす人もいたが、それでもスリルを求める多くの人で絶えなかった。 しばらく閉鎖が続いた後、2015年にエル・カミニート・デル・レイは生まれ変わった。 4年間の改修工事を経て、崩落しかけていたコンクリートの道には、新たに木製の歩道と手すりが取り付けられ、安全に歩けるようになった。改修される前の名残も残っており、木道の下には、かつてのコンクリートを垣間見ることができる。ぽっかりと開いた穴や剥き出しになった鉄筋が往時の姿を今に伝えている。ほかにも、岩の間から成長する古木や、岩壁に眠るジュラ紀の化石を目にすることだろう。 この空中歩道が開通した当時を振り返ろう。建設されたのは1905年のことだ。峡谷の両端にあった2つの発電所の間を労働者が移動できるようにと造られた。1921年に当時のスペイン国王アルフォンソ13世がグアダルオルセ伯爵ダムの落成式に出席する際に通行したことから、「王の小道」と呼ばれるようになった。 ダムの完成後は労働者が行き来することがなくなり、整備不良で荒廃が進んでいった。遊歩道の状態が悪化していくほどに、その名前が知られていったのは皮肉なことである。リニューアルによって、空中歩道が「王」の名を冠するにふさわしい輝きを取り戻した。 エル・カミニートを歩くには、公式ウェブページを通じて入場券を予約する必要がある。 ※最新情報は現地サイトにてご確認ください。