アルタヴィア1
イタリア
歩く距離・日数120km 10日
基本情報
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特徴
鋭く尖った峰々、切り立った崖は、世界遺産「ドロミテ」を印象づける風景だ。険しい岩山や絶壁からの眺望もアルタ・ヴィア1の醍醐味である。絶景を堪能するには、ルートと交差する「ヴィア・フェラータ」と呼ばれる登山道を行けばいい。イタリア語で「鉄の道」を意味し、岩肌に固定されたワイヤーロープや金属製のはしごを使うため、高所恐怖症の方は注意が必要だ。
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歴史
アルタ・ヴィア1のある「ドロミテ」が名付けられたのは、18世紀にさかのぼる。フランス人の地質学者デオダ·ドゥ·ドロミューがこの地で、石灰岩に似た鉱物を発見したことに由来する。彼の名前にちなみ、鉱物は「ドロマイト」と名付けられ、山塊がドロミテと呼ばれるようになった。第一次世界大戦において、ドロミテも戦場になり、イタリア軍とハンガリー・オーストリア軍の激戦において、より早く前線に部隊を送り込むためにヴィア・フェラータが整備された。
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自然
白い彫刻のように美しいドロミテの山容は、世界中の人々を魅了してやまないが、実はかつて海の底だった。2億5,000万年前も昔のことだ。そこにサンゴや貝類などが堆積していき、厚い地層がつくられ、地殻変動によって海底が隆起。氷河に削られた後、風雨による侵食作用で岩肌が露出、天を仰ぐように立つ岩塔や切り立った岩壁が形成された。荒々しい山々と好対照をなす湖も見所である。「ドロミテの真珠」と称されるブライエス湖は透明度が高く、湖面がエメラルドグリーンに輝いている。
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彫刻を思わせる急峻な山々、圧倒的なスケール感でそびえる絶壁、荒々しい山塊とコントラストをなす神秘的な湖。世界自然遺産に登録されているドロミテは、世界中の人々を魅了してやまない。その自然美を余すことなく堪能できるルートが「アルタ・ヴィア1」だ。 ドロミテはイタリア北西部に位置する山岳地帯で、広大なエリアに標高3,000m級の高峰18座がそびえている。アルタ・ヴィア1は、数多く存在するドロミテのトレッキングルートの中でも、もっとも知られているルートのひとつである。 南チロル地方のドッビアーコとヴェネト州のベッルーノを結ぶ全長120kmの道のりは、アップダウンをすべて足すと6,665mに及ぶ。10日前後にわたる行程は、雄大な自然を感じつつも、人の営みとそのありがたみを感じる旅になる。このルートの大きな特徴である。 アルタ・ヴィア1では、一定の距離ごとに山小屋があり、手作りの料理やワイン、ビール、コーヒーなどを堪能できる。そのメリットとして、テントや食料などの装備を減らせることが挙げられる。背負う荷物が軽くなれば、足取りは自然と軽くなる。ザックに余裕ができれば、景色、食事、人との交流を楽しむ心のゆとりを持つことができるのだ。 雄大な自然の中でも見逃せないのは、彫刻のような白い峰々が、日の出や日没の前後にサーモンオレンジに染まる瞬間だ。「アルぺングロー(山頂光)」と呼ばれる現象であり、山肌が刻一刻と変化していく。もっともドラマチックな光景である。 アルタ・ヴィア1において、圧倒的なスケール感を有しているのは「チヴェッタ山」。標高3,220mの高峰は、ドロミテを代表する山のひとつである。北西壁は標高差1,000mを超え、全長は4km。無数のクライミングルートがあり、クライマーには「ザ・ウォール・オブ・ウォールズ」として知られている。 また、アルタ・ヴィア1では特別なクライミング技術がなくとも急峻な岩場や崖を通ることもできる。それが「ヴィア・フェラータ」と呼ばれる登山道である。ワイヤーロープや金属製のはしごなどが整備されており、ハーネスやカラビナ、ロープ、ヘルメットなどの装備を使うことで、安全を確保しながら登ることができる。 戦争当時の記憶をたどれる場所もある。ルート上の最高点であるラガツォイ山(2,835m)に、大戦時に使われていたトンネルが今も残っている。内部に入ることもできるが、ヘッドライトや懐中電灯は必携だ。もうひとつは、「5つの塔」を意味する「チンクェ・トッリ」。5つの岩山が教会の尖塔のように、空にむかってそびえている。その山中に塹壕跡があり、戦争の哀しい歴史を伝えている。 ※最新情報は現地サイトにてご確認ください。